誘いとは、食事を一緒に食べないか、という。前日、流石に戸惑った彼らだったが断る理由が見つからなかった。
 朝食は美味しかった。彼が久しく口にしなかった、母の味がする。
 不覚にも涙が出そうだった事は、永遠の秘密にと固く誓うほど。
 だが、今回の真意はそれだけではなかった。

 一目会った時から、この誘いを聞く前からわかっていた。

 戦うな、戦場に行くなと。
 食事を終え、リンが場を離れてから母親は口火を切った。

「どうしても、戦いに行くのですか?」

 言われて揺らぐ覚悟は、初めからしていない。
 故に、躊躇う事なく頷きで返す。

「貴方たちは、まだ子供でしょう? 学校に通う、普通の子供だったんでしょう? なら無理に戦う事はないのよ」