答えは、そこにある。
 混沌の奥底に、胸の心の奥深く。
 いつか、出される時を願って、待っている。


 ――有難う。俺も、貴女が好きです――


 そう言える日が、早く来るようどちらも願っている。
 今はまだ、その時ではないのだから。それが精一杯。

 ベンチから立ち上がり、戻ろうと手を出した。
 男の、大きな手が、レナの前に差し出される。
 少し戸惑いながら、苦笑とも微笑みを零して、その手を取った。
 柔らかな温もりが伝わり、小さな手を包み込む。そのまま、緩やかに駆け出した。

 答えは、まだ出せない。
 だから、それで精一杯。

 互いに、この温もりを離さないよう、手を繋ぐ事。