有難う、とは言えない。
 ごめんなさいと言う気はない。
 答えは混沌の中に沈んでいる。

 嫌いなはずがない、好きじゃないはずがない。
 だが、この場で答えを出してはいけないと、そういう思いも混ざった混沌が押し留めていた。

 レナは言う。
 いつか、その心から恐怖を取り除きたい。

 ならば、その心から恐怖がなくならない限り、答えてはいけないと。
 彼女が、ショウの心から恐怖を払拭できた時、感謝の意と共に答えよう。