長い話が終わった。それでも、世界はまだ戻らない。
 彼がまだ冷たさを張らせていた。意識してなく、世界を隔てていた。

 子供は、ショウは心臓を患っていた。
 不治の病、今では発作も少なく普通と変わりない生活を送っている。
 いつ再発してもおかしくない、それがなくなったのは子供たち。幼きランサー、亮太、詩絵瑠に出会ってから。
 治っていなかった、しかし発作がただの一度も起こる事はなかった。

 心の恩人である同時に、命の恩人であった。

 だからこそ、その身を投げ打って詩絵瑠に生きてもらおうとしていた。
 崩れ落ちた彼女の耳元で囁いた。
 悪魔の囁きを語った、天使ではなく人間の言葉。