二の腕に硝子が刺さり、全身に打ち身と痣、あの速度と高さから跳び込んでよく済んだ。
 第三者がいたなら感心したが、そんな余裕はなく、周囲を見渡して目的の物を取る。
 新品で清潔な上着。袖を切り裂き負傷した腕に巻く。怪我をした時の応急処置知識を仕入れてある。血濡れた腕を晒す事に抵抗があり羽織って外に出た。銃も見えないようにその内側に。
 地上ではなく地下二階。中も入り組んではおらず、階段はすぐに見つかり問題なく外に出た。問題があるとすれば、それは出た直後の事だろうか。
「まったく、冗談じゃないぞ」
 空にはいくつかの機影が飛んでいた。先ほどまでは飛んでいなかった。
 急にこちら側に来たという理由は、一つしか思い浮かばない。
 身を翻して走る。目的地までの地図は頭の中に、迷ったりはしない。
 ただそれでも、何事にも障害は付き物だ。
 背後を見れば一体のOSが。二度気になって見ると、まだ同じ方向を飛んでいた。いくつか角を曲がって振り返ると、やはり同じ方向を飛んでいた。