「どのくらいの過ぎたか。けど、悲しみは長く続かない。それは痛みで見る錯覚なんだ」
「その子は立ち直れた? 悲しみに包まれた殻の中から、暖かな陽の下に出ているの?」
「ああ、もちろんだ。今も笑って、太陽と昼の世界で穏やかに生きていたよ」
「……生きていた、んですね。今は、少し違って」
「今は、ね。友達のために一生懸命なんだよ。大切な、友達のために」

 殻に閉じ篭っていた少年を救ったのは、何者でもない、見知らぬ子供たち。
 楽しそうに笑って、遊んで、微笑んだ。
 暗い世界から、唯一照らしている天窓から覗き込み、年相応の声と笑顔で。
 たった一言。

 遊ぼう

 と言って来た。