それから幾回の陽と月が昇った。
 時間の流れが曖昧、緩慢、悠久に感じた。
 身寄りがない子供は部屋に篭って布団に身を包み、薄暗く固い殻の中で過ごした。
 すべてを拒絶して、忘れようとした痛みに何度も苛まれる、無限地獄の甘美な殻。
 人の温もりもなく、寂しさも感じられない闇が充満している。
 恐怖に怯え繰り返される虚無の過去、次第に疲れ果て就いた夢の中でも同じ恐怖廻る。そして目が覚め、繰り返し。あるのはやはり、恐怖だけ。
 泣く事も出来ないほど枯渇した。
 痛んだ喉は苦痛さえ出ない。
 心の支えを奪われ、理不尽を呪って嫌った。