「お姉ちゃん? どうしたの」
「なんでもないよ、なんでも。ちょっと、日差しがきつかったかな」
「おいおい、俺が元気になったというのに、君が体調を壊してどうする」
「(……誰のせいだと思ってるのよっ)」
「お姉ちゃん、もうすぐ大事な事があるんでしょ? 身体直さないと、駄目だよ」
「……ああ、もうすぐ大きな、戦いがあるんでしたよ、ね。それなのに、気付かなくて」
「(そんな事まで話したのか、君は? そういうのは、機密があるんじゃないのか)」
「(あはは、確かそんな事言っていたような? でも、当日には知らせるような事言っていたし、大丈夫かなって)」
「(それは当日に知らせるから、それまで秘密にしろ、という事じゃないのか、おい)」
「(大丈夫だよ。絶対秘密にしてくださいって、頼んだんだからっ)」
「(なんでそんなに、無意味に心配させるような事を言うんだ、君はさあ。黙っていたって問題ないだろう)」
「(言わないといけないような状況だったんですよ~。仕方ないじゃないですか~)」
「……あの、一体、何をしているんですか?」
「いえいえ、こっちの話ですよ。彼女が、あまりにも具合悪そうにしていたので」

 あたふた身振り手振りで会話をしていた二人。
 それは怪しまれても仕方がない。そんな言い訳を誰が素直に信じる。