ＥＸＣＡＳ

　ハッと、嘲う声が聞こえた。
　否、それは自信に満ち溢れた歓喜の笑い。
　これには、間違いなく嘲笑と取った。
　的確すぎるタイミングで、場所で、計算した完璧な動作で跳ぶ。
　肢体は宙を舞い、飛翔していると思えるほど、延々と続くような光景。
　逃げられた、このEXCASが人間ならば舌打っただろう。彼は窓硝子をぶち破り、誰もいないだろう廃屋の中に飛び込んだ。
『適性値レベルの人物を発見。地区F‐21に侵入者六名。迅速な対応を求む』
　通信からの返答は淡白で、そうとしているような人間の声。
　可能性はどの程度だ、と。それに対し事実だけを返す。今まで起こったすべてを含め。
『適性率、約１７％。現在確認されている中では最有力』
『わかった。増援をそちらに向ける。事がすみ次第、俺も向かう』