中身が入ったコップが放物線を描く。
 魔術師の彼にとって難なく避けられる速度。

 なのに、思いっきり受けた。
 はやくないと言っても、それは彼にとって。

 普通の人間ならば、絶対に避けられず怪我を負う。

 彼も例外なく、ショウ・ステイアスの額が割れて血が流れた。

 投げた者は、そんな気がなかった、と思わない。
 本気で、傷つけるつもりで投げた。

 少女、藤咲詩絵瑠は
 ショウ・ステイアスを本気で憎んでいた。