『警告する。止まりなさい。我々は、十代以内の者を殺すつもりはない』
「(何の冗談だ、それは。そんな事を信じろというのか)」
 これは戦争だ。なんと言おうが結局は侵略者。その言葉ほど嘘くさい物はない。だが同時に疑問を覚えた。何故十代を狙うと。原始的な労働力として使うなら、二十代前半の大人ではないのか。そんな少年を狙って、その言葉を信じるのなら何を考えるのか。
 だが思案に時間はない。距離はあるが、前方で抗議の声を上げる者がいた。
 否、それは無謀。電子的な音が頭部のセンサーから聞こえた気がした。怒鳴った者と、その車内を検索している。そして検索は、数秒と経たなかった。
『該当人物なし。優先順位より逸脱』
 不味い、とショウは思った。それは決して一人ではない。
 だが何が出来るのか。この離れた、ただの子供たちに。
『警告無視。攻撃開始』
 間が抜けた声が聞こえた気がした。それも、頭から発生した豪雨じみた銃撃音に掻き消された。車は穴だらけ、一秒もなく爆発、炎上した。
 唐突な、現実感の乏しさ。悲鳴を上げる者さえなく。ただ震え、成り行きに身を任せる者ばかり。