「だけど、それは」
「通信の傍受を怖れるなら、足を使うしかない。詩絵瑠は場所の特定と暗号通信を送ってくれ。場所は任せる、俺とレナで手分けして戦力を集めよう。その繰り返しだ」
「了解。それじゃあ、早速探してあたってみるね」
「時間との勝負だ、急ごう。レナ」

 明るくならない表情で、レナはショウに続いてブリッジから離脱していく。
 人工知能を搭載した巡洋艦は、詩絵瑠一人で動かしているため他の者の判断を仰ぐ必要はない。
 知っているからこそ独断、命令違反や反逆罪と言われてもおかしくない事をしている。

「コンピュータ、指揮下から外れた、優秀な人を探し出して。軍人かは問わない」
『了解。該当人物、検索開始』
「さて、私は……戦力が集めやすい地形を探さないと」

 レナと同じ不安要素を抱えながら、自らが出来る事をする。
 今出来る事をすれば何とかなる。否、今出来る事をすれば、何とかしてもらえる。そう信じて行動を開始した。