殺せ殺せ殺せ殺せ。

 潰せ潰せ潰せ潰せ。

 食す食す食す食す。

 ノイズ交じりの機械音声。欲望に忠実すぎる声。
 機械で音声化されているが、不自然すぎるほどの感情が篭っている。
 カタカタと震え始める詩絵瑠。その気持ちは、一般人や戦場に立てない者を確かに恐怖させるだろう。
 何という醜悪さ。
 何という残虐さ。
 殺害に一片の迷いがない。
 人工知能であるから当然だ、しかし人間らしさを醸し出す。
 絶対悪という認識。レナでさえ顔を青く。隣に立ち耳を傾けていたショウも、気分を害したように顔を顰めていた。

「ふざけた機械だ。製作者の性格は、本当に歪んでいるな」
「仮に歪んでいても、これだけの物を作ったんだよ。とても、怖い物を」
「怖かろうと何だろうと、戦う相手だ。逃げていても、どうにもならない」
「……ショウくん、強いんだね。よく、立ち向かえるね」
「立ち向かう、か」

 それは、必ず誰かを道ずれにする。
 守るものを傷つける戦場へ。
 陰鬱な気持ちにならないはずがない。
 悲劇と死を見せ付けられて、それでも連れて行かなければならない。