戦果を上げた嬉々でもなく、
 惨劇を起こした圧倒的強さの狂気でもなく、
 巻き起こしてしまった惨状に向けた悲哀でもなく、
 騒ぎ姦しく笑う幹部を観察した嘲笑でもない。

 憤怒と憎悪。
 最もこの場に相応しくない、二つの感情を浮かべていた。

 まだか。
  赤く滾る思いは興奮。

 はやく。
  昏く巡る思いは希望。

 急げ。
  目まぐるしく回る思いは自信。

 創り上げた悪魔の力に興奮した。
 破壊を振りまく雄々しさに期待する。
 意味なく弱者を潰す様に、至高の存在と疾く相対しないか焦らされる。