敵の群れを抜ける頃には、宙に存在するのは自分たちだけ。
 これで終わりか、と気を抜いた。
 思わずの脱力で落ちそうになる。

『大丈夫?』
「ああ。しかし、流石にまだ疲れる。
 何度訓練しても、スタミナは増えないな」
『厳密には、魔力のスタミナね。こればかりはそう簡単には』
「長い目で見るか。とにかく戻ろう。みんなが苦戦していないか、見て笑ってやろう」

 悪趣味、とレナは苦笑する。
 自分でもそう思うが、とにかく速く行ってやらなければ。



 その前に、
 見ておかねばならないだろう?



 ドクン。
 と何かが鳴った。
 心臓以外の何か。
 自分の物以外の何か。

 視界のリンクが、
 切り替わっていく。