螺旋を描き上昇下降。戦場から引き離し引き付け、気付けば十体のEXCASが追いかけてきたが。
 それでいい。零七小隊は戦線に復帰し、厄介な敵はこちらが引き付ける。
 あとは、これらすべてを蹴散らしてから戦線に戻ればいい。

『そうは言ってもですね。楽じゃないですよ、この数は』
「楽な戦闘なんて、最初からないだろう。楽をしたければ頭を使わないと」
『まあ、こうして体を使っているのですが』
「揚げ足取りは止めようぜ。ホラ、また来たっ」

 狙いを定めずに撃ってくる。速度は互いに限界、まともに狙いがつくはずがない。
 あたるはずはない。
 けれど刃を振るって、閃光を掻き消した。

「ステーションの中で、こんな物を無闇に撃つな!」
 魔術兵装の威力は桁違い。一撃で岩盤は砕け、内部深くまで届く。
 居住区や市街地区に遠くとも、それではここが持たない。守るべき対象がいる土台を、壊されてはたまらない。
 不確定な軌道で狙いをつけさせ、大きな被害を齎す攻撃は弾き消しながら機会を待ち。
 ここです、とレナと自分の意思が同調した。
 急停止直後に逆噴射。
 同速度で移動していた敵はあっという間に追い抜き、背後を取った。シールドの作用しない背面から、突進と共に斬撃を繰り出す。
 交差、交わる間もなく落ちる敵もいる。