CALIBURを担ぎ一秒も掛からず急加速。
 それで生じる魔術の風と障壁ならば、魔術兵装でもない限りはすべて弾き返す。この武器は魔力を載せる事で斬撃を延ばせる。確実に当てられる距離ではなく、多少遠くても命中率が高いあたりで妥協。
 昔の魔術師はそれぞれ魔力が違ったらしい。
 人間の細胞や遺伝子と同じように単一の波動は存在しない。
 彼女が言うには、俺の波動は紫色の風のようだという。機嫌や気分でよく変わると。だから、魔術兵装なしで魔力を飛ばせば安定しない俺だと威力・精度にムラがある。しかし。
 紙細工のように。
 綿菓子のように。
 斬ったという手応えすら残さずに断ち切った。
 魔術や魔力は専用の耐性がなければ大きな被害を与える。曖昧な例えで、それは病気のようなもの。悪性のウイルスにかかると死に至る可能性があり、ワクチンや抵抗があれば無効化は出来なくとも軽減は出来る。
 魔術兵装を持ったEXCASには軽減されるが、魔術機構を持たない機体では抵抗など出来るわけもない。
「これでラストだ」
 味方を追ってきた敵はすべて落とした。
 これで楽ができるといいのだが。