幾人かの部隊長が並んで座った箱形に密閉された部屋。次の襲撃に関しての作戦会議、それを、覗き見る老人がいた。
 映した二つの眼球は、しかしその光景を見てもいない。
 遠い昔に見た、死劇を思い描いていた。

 それは今でも思う、一体なんだったのかと。

 科学という力だけでは理解しきれない、人間だったモノがそこにいた。
 黒い心臓と(魔術に支配された)、黒い波動と(魔術に包まれた)、黒い身体(魔術機構)と心(魔力)を持った人間(魔術師)。
 白い心臓と(機械を従えた)、白い波動と(機械を纏った)、白い身体(機械鎧装)と心(技術)を宿した人間(現代人)。
 理解できない力と、理解できる力を兼ね備えた存在は、いつまでも眠っていた。
 起こす事もできずに、起きるまで待ち続けた。
 そこにある、同等の力が得られるだろう知識を求めるために。
 そして、幕が上がった。
 解析を続け、彼らはついにその名を知った。

『イクシアス』
 それが、始まりだった。