その顔を見ていたい、その温もりから離れたくない。
 そう、自然に……。

 ショウさん。

 自分の名前が呼ばれた。 
 思わず反応しそうになったが、やはり身体が動かない。
 その唇が、次の言葉を発してくれるのを待っている。
「わたしは、別にいいよ。気にしない。だから、一緒に戦わせて」
「……それは、」
「言ったでしょう? わたし、ワガママなんです。一緒に、戦いますよ」
「……戦ってほしくない。それが俺のワガママでもか?」
「当然です。同じ科白を返しますよ。戦ってほしくない、それがわたしのワガママです」
「……それじゃあ、どっちも通らないな」
 思わず苦笑いを浮かべてしまう。どっちも子供みたいにワガママで、譲らなくて。
 だから思わず、それでもいいと考えた。
 どちらも譲れないなら、どちらも少しずつ折れていけばいいんだと。