『緊急避難警報発令。謎の戦闘武装集団の侵攻により、民間人の方は必要最低限の非難用具を持ち、最寄りのシェルター内へ』
「侵攻されてから言うなっ」
「警報って、まさかこんなにいい加減なんて」
 ランサーと亮太の二人は、ある出店で遊んでいたところでOSの衝突を知った。その直後の事だ、この警報が鳴り響いたのは。これでは警報の意味がない。毒吐く亮太だった。
 生徒達は個人の判断で逃げていく。集まらないのか問われれば、そうだと答えるだろう。何より、そこは既に戦場。
 EXCASは互いに衝突し、腕部や頭部を千切られ事切れ。OS同士は損傷しながら戦闘を止めない。だが劣勢は見て明らか。ステーション側のOSもEXCASも、実戦経験が悉く足りていない。それ以上に敵をただの武装集団と侮っていた事が大きい。チームワークによる集団戦法に嵌められて撃墜され。戦力では多いはずが、これでは烏合の衆だ。
「……ねえ、しっかり! しっかりしてよ!」
 硝子を引っ掻く悲鳴。声は校庭から。倒れた少年を前に震えている女性がいた。私服の生徒ではない者。
「姉さん!」「佐伯さん!?」
 そこにいたのは派手な格好をした美女、水上佐伯。亮太の姉だ。駆け寄り、佐伯の声の理由がわかった。倒れている少年は、まだ小学校にも上がっていない年頃。頭から血を流し、その正を終えていた。
「この子っ、死、んで」
「佐伯さん、立って! ここにいちゃいけない!」
「っ……ランサー、姉さんを引っ張ってきて!」
 無理矢理手を握り、半ば狂乱している佐伯を連れて行く。校庭から外へ抜け、そこに置いてあった車を奪取。しかし、この中で運転が出来る者などいるのだろうか。