これは、と誰かが呟いた。
 それはそうだろう。
 何という異形さ。何という異常さ。
 武装は魔術兵装で戦艦より物々しく、出力はEXCASなどとは桁違い、装甲はOSなど紙同然。形状はまるで植物、無数の触手はまるで悪魔か。有人ではなく無人。人工知能を積んだため感情はなく、決められた事柄の優先順位に従い行動する機械。
『コードネーム・Judgment(ジャッジメント)・LENA(レナ)。これ一機と、いくつかの部隊を導入しましょう』
『大丈夫なのですか、それは』
『安心して頂きたい。これ一機で、EXCAS数十機分以上の働きを約束します』
 歓声が沸いた。明らかに勝利を前にした、浮き足立った歓喜。
 奇妙な違和感をガイアは覚えた。老人たちではなく、この空間に異物が侵入したわけでもなく、初めから存在した何かが変質したのだ。
 だが、気づく事はない。目に見える事はないからだ。
 モニターの中、映像を映している老人の顔が歪む。
 歓喜で狂気な憎悪は嘲笑へ。
 自らが生み出した存在が■■のTYEP00を■してくれるかと思うと、どうしようもなく。