彼は正式な組織の一員ではない。ある戦争でいく場所をなくし、パイロットとして生きていた頃に拾われただけ。
 気にならないようにしてきた。だが時折、何気なく考えてしまうのだ。
 あれは本当に、人間かと。
 小波のような表情、荒れる事のない語気、人間として何かが欠落しているという印象を与える。何かが足りないのではなく、何かを無くしたという印象を。
『ですが、処罰なしというのもやはり部隊の指揮に関わりますね。ですので、次の任務を汚名返上という事にしたいのですが』
『次の任務ですか? 謎のEXCAS強奪ではなく』
『ええ、そちらはこれにやってもらいます』
 老人が消え代わりに現れる物体。とてつもなく巨大な物の一部。設計図か武装か、様々な計器や図形が異常な数値を叩き出していた。