一体どういう事だ、という怒声がモニターから聞こえる。
 戦線には立たない汚れない頭たちが、傷つき帰ってきた戦士たちを罵倒した。
 戦士たちと言っても、実際に叱責を受けているのは一人だけ。全体を罵られながら、その声を浴びるのはただ一人。部隊長である、ガイアただ一人。
『君は我が組織内で有名だ。それが負け帰るという事が、どういう意味かわかるかね?』
「よくわかるお話です。わかります」
『任務の失敗はもちろん、この事は士気の低下に繋がる。後ろ盾のない我々にとって、敗北は何よりも避けなければならんのだ』
「申し訳ありません。すべて私の責任です」
『君に処罰を言い渡したいが、我々にその権限はない。まず、あの方のお言葉を頂こう』
『――まあ、皆さん、まずは落ち着きましょう』
 一際大きなモニターから、白髯の老人が映し出された。見ればモニターに移っているのは皆老人、だがその中でも今現れた老人はどう見ても老けすぎている。歳を食いすぎていれば偉いのか、しかしその雰囲気が発する威圧感はモニター越しでもひしひしと感じる。
 穏やかの物言いでガイアのお咎めをなくすように言うが、それは絶対の強制。
 この者、一体何者だろうか。
 ガイアはぼんやりと眺めながら、そう考えた。