-高校2年の冬。-

まだ年明けの賑わいが残る

真冬のある夜


不意に

お気に入りの着信メロディーが

部屋に響いた。

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受信日時 20:38
送信者  悠二サン
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彼女と別れるかもしれない

    ---END---

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―‥『うそ‥!』


彼女のいる人のこんな言葉は

信じちゃ駄目だ。と

どこかで聞いた事がある。


だけど‥

別れるだなんて、

あの子のものじゃなくなるなんて、

これっぽっちも考えたこと

なかったから


予想外の展開に

喜ばずには居られなかった。



『私の気持ちは変わってないから。

 そんな事言われたら期待しちゃうよ?』


確信したくて、

選んだ言葉の返信は‥



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受信日時 20:45
送信者  悠二サン
Sub  Re.

期待していいよ。待ってて。

    ---END---

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私を最高に喜ばせてくれる言葉だった。


言い表せない程の

優越感がじわじわと溢れて来る。


すごく、すっごく

‥悔しかったから。


1番になれない事が。


こんなにも好きなのに

彼の目には彼女しか

映ってないことが。


悔しくて、寂しくて、空しくて‥


幸せを手に入れる為には

誰かが、何かが

犠牲にならなくちゃいけない。


この時は

犠牲になるのは〝彼女〟だと

何の迷いもなく思ったの。




だけど‥

やっぱり世界は上手く出来てる。



こんな醜い感情を抱いた私には

温かい未来は


待っていては

くれなかった。