『他に気に入ったのが見つかるまで

 変えないの~!

 別に深い意味はないもん!』

無駄とも思える小さな反抗に


「お前もセタメンにしろって!旨いぞ♪」と

同じ銘柄ならタバコ代が浮くという考えが

いかにも!と言わんばかりの

不適な笑みを浮かべて啓太が言う。


『セタメン香りがおっさんだから絶対やだよ』


「おっさん言うな!まだピチピチじゃい!」


じゃれ合う私達を交互に見ながら

「お前ら本当に夫婦漫才みたいだわ」なんて

冗談のようで本気にも聞こえる台詞を

千尋が言いながら

最後の一吸いをしたタバコを地面で擦り消す。


それを合図に

創真君との出来事を


少しずつ話し始めた―‥


啓太もさっきまでの勢いが嘘のように

静かに聞いてくれている。


話が終盤に差し掛かる頃に

啓太がタバコに火をつけ

あまり好ましくないセタメン独特の

深いメンソールの香りを漂わせながら

3回目の煙を吐き出すと同時に


私は話し終え


4回目を吸い煙を吐き出すと同時に

啓太がクチを開く―‥