行きつけのカラオケボックスに着き

ドアを開けると共に

大きな笑い声が響く部屋へ

千尋と共に入った。


1,2時間の遅れは別として

こういう少しだけ待つ場合は

唄わずに待っていてくれる。


そんな何気ない優しさが

こいつらの 良い所。


『お待たせー!さっ♪唄おう!』

「遅れて来ておいて1番乗りかよ。
 
 終わったら飯おごれよ!」


意地悪な顔をして言う啓太に

『遅刻してなくても奢ってんじゃん!
 
 あんたは1日働いてるんだから
 
 いい加減ご馳走してよね!』と

嫌味を返す。


啓太は高校を中退して今はラーメン屋と

ファミレスのアルバイトを掛け持ちしている。


なのに何故か

ご飯行く時は私の奢りで

万年金無し野郎だ。


今日のカラオケもきっと

啓太だけ払わないんだろう。


啓太がバンドでコピーしている曲を唄い

千尋が得意の洋楽を唄い

晃が少し外れたテンポで

ジャパニーズレゲェを熱唱していると


部屋のドアが開いて

勇助君が入って来た。