「おはよ~」

遅刻がそんなに珍しくない私に
いつも通りに理央《リオ》が
挨拶を投げかけた。

その横に居た李華と目が合い
私の瞳を一瞬凝視したかと思うと

近い距離なのにも関わらず
一目散に駆け寄って来て

私より10㎝も低い
小さな身体で抱きしめてくれた。


「何があった?」

その一言に
こらえていたモノが

また溢れ出す。


『う‥うぅ~‥』
嗚咽を上げながら
ただ泣くだけの私の手を

李華はトイレへと引っ張って行く。


うちの学校の女子は
大概泣くときはトイレ。

だから大泣きしている私を見た
他のクラスの子達も

大きく驚く事もせずに

自然と2人だけの空間を
作ってくれた。