「おお、鳴ったか。それじゃ、また明日」



そう言って、チャイムと同時に先生は教室を去った。



「あ……」



そこであたしは気づく。



教卓の上に、先生のペンケースが置かれていることに。



黒色のシックなペンケースだ。



いつも先生、授業の終わりにはこれ持っていくから、忘れていったってことか……。



そ、それじゃ届けなきゃ! 先生困っちゃうよね!



あたしはペンケースをさっと取り、先生のあとを追った。