「ところで、こないだの俺の忠告聞いてくれた?」


「え?」


「大丈夫だった?」


「…」


「もしかして、付き合ってるの?」


「いいえ」


あ〜よかった…


明らかに、のっぽさんの顔が暗くなった…


「間違ってたら、ごめん。
そいつにお金とか、貸してないよね?」


「…」


「やっぱり…」


「…」


「ごめん。俺、はっきりしか言えなくて、傷つけたら申し訳ない。けど、言わないともっとのっぽさんが傷つくから…」


「はい…」


「あいつ、詐欺師らしい…」


「…薄々感じていました…」


「じゃあ、なんで?忠告したのに…」


「…薗田さんのお母さんが手術すると聞いて…」


「そんな理由だったな…」


「…」


のっぽさんは、今にも泣き出しそうな表情をした。



「……
私、父と母が12歳の時に亡くなっているので、薗田さんのお母さんの為になればと思って…」


「そういうことか…
でも、それもきっと嘘だよな」


のっぽさんは、昔のことを思い出したかのように遠い目になった。


耐えきれなくなったのか、大きな目から涙がこぼれた。


のっぽさんが、とてもか弱く感じ俺は、守ってあげないといけないと、思った時のっぽさんを胸の中に抱きしめていた。


のっぽさんは、俺より背が高いが
、華奢な身体をしていた。


すると、髪の毛からとても甘い香りが鼻を掠め、俺は、数回頭を撫でた。


「ご、ごめん」


のっぽさんから離れ、さっきまで座っていた椅子にまた、座った。


「許せねぇな、被害届出したほうがいいかもな」


のっぽさんは、何も言わずに頷いた。


「一緒にいくよ」


もう一度頷いた。