次の日、祖父に呼ばれ、実家に向かった。
部屋に入るとそこには、 父もいた。
祖父が言った。
「そこに座りなさい」
「何かありましたか?」
「宗輔、そろそろ、わしは会長職を引退しようと思っておる」
「そうですか」
「今期いっぱいだな…」
「そこで宗輔、社長はまだ、早い。来期から専務に昇格だ」
「親父、いきなりすぎないですか?」
「責任感を持ちなさい」
「そこで、一番のお得意様に挨拶に行くぞ」
「はい…」
俺は、言われるがまま祖父と祖父の専属の運転手の車に乗り、そのお得意様のところに向かった。
そこは、いつも実家で祖父と囲碁や将棋をしていた、富一郎さんのお宅だった。
「富一郎さん、ご無沙汰しております」
富一郎さんはリビングまで案内してくれた。
あれ?ツルさんはいないのか?
「すまないね、家内が今外出中で…ちょっと孫を呼んで来る」
孫?お孫さんと暮らしているのか…知らなかった…
祖父と俺は、ソファに座った。
少しして、富一郎さんのお孫さんがやって来た。
「元さん、おはようございます」
「瞳子ちゃん、お邪魔しています」
ん?
「「え?」」
「太田さん…」
「のっぽさん…」
「「知り合いだったのか?」」
あはははと笑いながら、祖父と富一郎さんはびっくりしていた。
一応、祖父はお互いを紹介してくれた。
「それにしても、宗輔、こんな可愛らしい瞳子ちゃんに、のっぽさんとは、失礼だ」
「き、気にしてないから大丈夫だよ、元さん」
それにしても、まさか、富一郎さんの孫だったとは…
「宗輔きいているのか?」
「はい」
「ごめんなさい。私、お茶いれますね」
やっと、のっぽさんに謝罪ができるな…