たえはモリトに言いました。

「この子を川に流してきてほしい」

モリトは驚いていいました。

「なんということを。おまえはこの子を捨てるのか」

たえは、自分に言い聞かせるように言いました。

「わたしとモリト、そしてこの子が生きるためには、

こうするほかはない。

知ってのとおり、この川の下にはわたしの生まれた村がある。

モリトの足なら、急げば二日で村まで下るだろう。

わたしの母が、まだ元気なら、川で着物を洗っているだろう」