杏子は、毎日、毎日、嫌がらせをされて、精神的にも参っていた。
―――また学校に行かなあかんのやね。
杏子は、中身がボロボロになったノートを見ながら、ため息をついた。
―――それにしても、なんでノートばっかりに嫌がらせをするんやろう・・・。
犯人は、教科書を破ったり、体操服や上履きを隠したりといった、他人にばれそうなことはしない・・・ノートのみを狙っている。
―――なんて地味な嫌がらせなんやろう・・・。
しかし、杏子は誰にも助けを求めないと決めたので、本当に孤独な戦いとなっていた。
食欲もなく、精神的にも体力的にもボロボロになりながら毎日を過ごしていた。
―――ほんま、私がなんでこんな目に遭わなあかんねん!
やり場のない感情を健一に向けるようになっていた。
はじめのうちは、怒りの矛先を健一に向けるのは間違っていると自分を正したが、最近ではそれさえできなくなってきている。
―――眞中健一・・・あんたさえいなかったら・・・。
いつしか健一への憎悪となっていた。