「あっ、杏子ちゃん、制服よく似合ってるね!」
杏子が泣き止んだ頃、華代が帰ってきた。
大学生になって、また大人っぽくなっていた。
髪はボブできれいに内巻きになっていて、小顔の華代の顔が一層小顔に見える。
背は、杏子より少し低く160cmはないが、脚が細くて長い。
その脚に白いパンツがぴったりだった。
容姿端麗、頭脳明晰・・・沙知みたいだなと杏子は思っていた。
しかし違うところは、沙知は大和撫子タイプで前には出ない感じ、一方華代は生徒会に立候補したり、目立つタイプだ。
杏子とは性格は違うが、昔からいろんな話をしてきたので仲が良い。
「ありがとう」
「あっ、後で写メ撮らせて?隆博に送るから」
―――怪しげな笑みだ・・・。
花よがたまに見せる何かを企んだ笑顔は、少し怖いので、敵には回したくない。
「えっ?隆博くんに?」
「そうそう、隆博は杏子ちゃんのファンやからね〜」
佐知子までも悪のりをしていたので、杏子は何も言えなかった。
―――大学生の携帯に女子高生の制服姿が入ってたら、やばくない?
そんな杏子の思いも知らずに、華代は機嫌よくケーキを食べていた。ケーキは好評で、あっという間に3人とも食べ終わった。
華代が食器を片付け終えると、杏子は立たされて、モデルになっていた。
「オッケー。ありがとう。なんて送ろうかな〜」
そう言いながら杏子の携帯を触る華代の顔には、再び怪しげな笑みが零れていた。
「あっ、華代ちゃん、私が送ろうか?」
怪しげな内容のメールを送られるくらいなら、自分で送った方がましだと杏子は思った。
「それもいいねぇ。隆博喜びそう」
杏子は、華代から携帯を受け取ると、メールを送ることにした。
―――なんて送ろう・・・。
杏子は、隆博くんに送る内容を頭を悩まして考えていた。
【件名:こんにちは
隆博くんお元気ですか?今、おばあちゃんの家に遊びに来ています。こっちに戻って来た時に、遊びに来てね。
写メは、華代ちゃんが撮ってくれました。】
―――こんな感じ?
「杏子ちゃん、できた〜?」
横から覗いてくる華代に内容を見せた。
「ちょっと貸して」
華代は杏子から携帯を取り上げると、何やら文字を打ち込んでいた。
「送信!」
「えっ?何て入れたん?」
杏子は、送信済のメールを見て驚いた。
【件名:愛する隆博くんへ
本文:隆博くんお元気ですか?杏子です。今、おばあちゃんの家に遊びに来ています。こっちに戻って来た時に、遊びに来てね。
写メは、華代ちゃんが撮ってくれました。】