小学生の頃、杏子は今では考えられないくらい小柄で内気な女の子だった。
そのため、よく男の子にいじめられたりしていた。
幸い、女の子たちのいじめの対象にはならなかったが、おとなしいので、壊れ物を扱うような接し方をされていた。
そんな杏子を変えたのが、彼だった。
小学3年で同じクラスになった彼は、学年でも群を抜いて体格がよく、杏子との身長差は30cm程あり、体重は3倍くらいあった。
その体格の良さから、彼は上級生からも一目を置かれる存在で、杏子をいじめっ子から守ってくれた。
さらに、内気だった私を笑顔にさせてくれた。
こんな優しくて強い男の子なら、女の子たちにモテそうだが、彼は人気はあったが、モテることはなかった。
なぜなら、彼は太っていたから。
小学6年生にして体重は80kgを越えていた。身長が170cm近くあることを考えても・・・太っていた。
でも杏子は、彼が好きだった。
自分を変えてくれた彼が大好きだった。
しかし、別れは突然訪れた。
彼は、家庭の都合で小学校を卒業してすぐに引っ越すことになった。
それを聞いたのは、中学の入学式の日。
別れも言えずに、彼と離れ離れになってしまった。