「健一のことなんやけどな・・・」
「眞中くん?」
美穂は首を傾げて佳祐を覗き込んだ。
美穂はその瞬間、佳祐と目が合い照れくさくて、目をそらしてしまった。
「あ、あぁ、健一さ、岡崎ちゃんのこと好きなんやと思うんやけどさ・・・」
「やっぱり、佳祐もそう思う?」
「”やっぱり”って美穂も?」
佳祐が自分と同じことを思っていたことに美穂のテンションが上がった。
―――やっぱりそうやんな・・・。
健一が杏子を見る目は他の子のとは違っていること。
あれだけ女の子に囲まれても楽しそうじゃないのに、杏子に話し掛けるときはなんか嬉しそうだと美穂は感じていた。
美穂がここまで詳しいのは、健一の側には佳祐がいるから。
こんなことを言ったら、佳祐が調子に乗るだけだとわかっているから、美穂は黙っていた。
「美穂〜どうした?」
「えっ?」
佳祐にばれてはまずい考え事をしていたので、話し掛けられて、動揺してしまった。
「それで、健一に自覚させようと思ってるんや」
腕組みしながら、悪巧みでもしているような表情で、佳祐は言った。
「それで、杏子に近づいてたんやね!」
―――そうか、納得。
「そうなんやけどなぁ・・・俺が『岡崎ちゃんを狙ってもいいか?』って聞いても、『関係ないし』って言うし。俺の勘違いかな?」
「勘違いではないと思うよ」
―――勘違いではない。でもどうしたら・・・。
二人で並んで腕組みし、あれこれ策を練った。