「美穂、顔が真っ赤やで」


「うるさい!佳祐が変なこと言うから!」


―――可愛くないな、私。


「変なこととは失礼な!」


佳祐は美穂の性格をよくわかっているので、本当には怒っていない。


むしろ、素直でないところでさえ可愛いと思っていた。


「だって・・・・・・」


佳祐は真剣な顔をして、美穂を見つめた。


「じゃあ、俺と付き合ってくれる?」


「はい」


美穂は、素直に答えることができた。


「じゃあ、美穂は俺の彼女?」


「そうやで」


―――こんな時くらい、少しは可愛らしく・・・。


美穂にそんな思いが頭を過ぎったので、佳祐に向けてニッコリ笑ってみせた。


佳祐は、じっとしていられないという感じで立ち上がり、両腕を上げ、大きく伸びをした。


それにつられて、美穂も立ち上がり、大きく伸びをした。


澄み切った青空を眺め、思いきり深呼吸をした。


「じゃあ、美穂にも協力してもらおうかな」


佳祐は再びベンチに座り、隣の空いているところを叩いて美穂に座るように言った。そして、興奮気味に話し出した。