病室には、健一と杏子と呼び出された隆博とが顔を並べていた。
「杏子、二人で話したいから廊下で待っていてくれるか?」
そう言うと、険しい表情で隆博を見据えた。
「うん。わかったよ」
杏子は渋々といった様子で、廊下に出た。
二人だけになった病室は、物音一つしないくらいに静まり返っていた。
「君がガッくんだなんてね」
最初に口を開いたのは、隆博の方だった。
「なんでそれを・・・」
「杏子にさっき聞いたよ。
まぁ、ガッくんの話は、杏子が小学生の時に飽きるほど聞かされてたけどな」
「・・・・・・」
「あの時は、杏子を守ってくれてありがとう」
隆博は深々と頭を下げた。
「なんでそこまで・・・」
これがただのいとこに対する態度であれば、理解はできないが、いとこ以上の感情があるのであれば、健一にも理解ができる。