「・・・好き」





杏子は、勇気を振り絞って、気持ちを伝えた。健一は、杏子がもう一度気持ちを伝えるとは思っていなかったのか、驚いていた。



「えっ・・・」


「私は・・・あなたのことが・・・好きです」


心の中の声に答えるように、再び想いを口にした。


「アホ・・・」


「何よ!頑張って言ったのに!」



健一は照れくさくて言ったのはわかっていたが、杏子はわざと口を尖らせて拗ねてみた。



「・・・めちゃくちゃ嬉しい」



言い終わった瞬間、健一は見たことがないような笑顔を杏子に向けたと思ったら、顔を真っ赤にして窓の外に目をやっていた。



その照れ臭そうな表情を見て、杏子は「よかった」と俯き呟くように言った。



健一は、杏子の恥ずかしそうで、でも嬉しそうな姿が窓ガラスに映っていて、やっぱり可愛いなと思っていた。