結局、海にはバイトが休みの日に、いつものメンバーで行くことになった。


テスト休みに入って、と杏子と美穂がバイトを始めたのと同時に、健一も佳祐と一緒に、佳祐の親戚が経営するカフェでバイトをすることになった。


バイトの休憩中に話すのは、やはり杏子と美穂の話。


「なぁ、もうすぐ海行けるな」


佳祐は、伸びをしながら爽やかな笑顔半分、男の下心半分といった表情で健一を見た。


「まだ10日あるぞ?」



海に行くのは、終業式の2日後。


嬉しいのはわかるが、毎日同じことを言われると、飽き飽きしていた。


健一の言葉など聞いている様子もなく、佳祐は続けた。


「美穂、どんな水着を着るんかな〜」


「ぷっ・・・」


佳祐の言葉に飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。


「健一、汚ねぇなぁ。お前、岡崎ちゃんの水着姿想像したんやろ?」


「お前と一緒にするな!」


佳祐に言われたことが図星だったので、慌ててごまかした。


―――あー想像したらあかんって!


想像の中の杏子はグラビアアイドルみたいな大胆なビキニを着て、笑っていた。



―――そんな水着を着るわけないし!俺・・・相当、欲求不満なんかな。



健一は、少し伸びてきた髪を振り乱し、頭の中から杏子の姿を消そうとした。