「ただいま〜」


杏子は、家に着くと部屋に行き、健一から受け取った連絡先を鞄から取り出した。


―――とりあえず、メールしておこうかな。


携帯を開き、健一の連絡先をを登録し、メール作成画面を出した。


―――なんてメールしよう。


『お疲れ〜!登録しておいてね』


―――しっくりこない。


『これからもよろしくね!』


―――なんだかなぁ。


悩むこと半時間。


【今日は一緒に帰れなくてごめんね。夏休みにどこ行く?】


―――うん。これにしようかな・・・。ちょっとくらい素直にならないとね・・・。



「はい、送信!」


親指が送信ボタンを押すと、急に胸がドキドキしてきて、何も手につかなくなっていた。


―――わぁ・・・めっちゃ緊張するし。もうメール見たかな?何て思うかな・・・。
「あっ、メールや!」



ディスプレイに『眞中健一』の文字が見えると、胸はさらに激しく鼓動し、おさまることを知らなかった。


「はぁ・・・」


深呼吸をしメールを開いた。


【件名:アホ】


―――いきなりアホって・・・なんやねん!


【誰かわからんやろ!名前を入れろ!

でも、ありがとう。

夏休み、佳祐と海に行こうかって話してたんやけど、どう?】



―――しまった・・・名前を入れるの忘れたし・・・アホって言われて当然やな。それにしても、海かぁ。行きたいなぁ。



【件名:ごめん!】


うわっ、ごめんって・・・やっぱり海は嫌か?


【本文:名前入れるの忘れてた!岡崎杏子です。私も海に行きたい!】―



――よしっ!送信!