「それで、岡崎ちゃんとはデートの約束をしたん?」


美穂と一緒に帰ることができなかった佳祐は、健一と昼食を摂っていた。


「あぁ。あっ!」


―――しまった!返事聞いてなかったし・・・。


「どうした?」


「メアド聞いたから、また誘うよ」


「えっ?知らんかったん?」


「悪かったな」


―――あいつと話すと、いっぱいいっぱいで・・・情けないけど、聞くのをつい忘れる。


家に帰ってからも・・・

その日に話したこととか・・・

あいつの表情を思い浮かべてたら、一日が終わるんよな・・・

だからさらに話したいとか、メールしたいとか思わなかった・・・って、俺おかしいよな。



「健一ってさ、付き合う前からキスとかしてさ、手が早いんやと思ったら、なんか抜けてるよな・・・」


「佳祐、殴られたいんか?」


「ごめん、禁句やったな」


健一の迫力に負けて、佳祐は抵抗もせずに謝った。


「それより、佳祐、お前の方は進展したのか?」


「・・・」


「禁句やったか?」



―――この前、キスすらしてないって言ってたから、まだなんやろうなぁ。


「俺さ・・・いざとなったら、美穂に嫌がられたらどうしようとかさ・・・ヘタレやんな・・・」


頭を抱えて悩む親友に、健一はなんと言えばいいかわからなかった。


「健一は、岡崎ちゃんが初めてじゃないんやろ?」


「・・・」


―――初めてですけど何か?


「マジで?」


「悪いか?」


「初めてやのに、無理矢理?」


「お前、ほんま殴られたい?」


「いやいや・・・健一ってさ、なんか馴れてそうやからさ・・・」


「馴れてるんやったら、もうあいつと付き合ってるっつうの!」


「まぁ、そうやな・・・」


お互いになかなか進展しない恋にため息をついていた。