「えーっ!そんなことがあったんやぁ」
杉村の過去の話を聞いて、美穂は驚きを隠せなかった。
「私も初めて聞いた時、びっくりしたんよ」
杏子も眉を潜めながら言った。
「杏子への嫌がらせも酷かったけど・・・理香も苦労したんやね」
理香の気持ちを考えると、胸が痛くなってきてテンションが下がりかけたところに、沙知がタイミングよくフォローをした。
「まぁ、イケメンを彼氏にする苦労ってやつやんね?」
「まぁね」
理香は『彼女の余裕』といった雰囲気で笑い飛ばしていた。
「杏子は、あれから大丈夫なん?」
「あ、うん」
控え目に返事をする杏子に、美穂が割って入った。
「杏子は大丈夫やで!眞中くんが守ってくれるもんね?」
「み、美穂」
杏子は怒っていたが、顔を真っ赤にしているから説得力が全くない。
「えっ?杏子は眞中くんと付き合ってるん?」
「つ、付き合ってはないよ・・・」
さらに赤くなる杏子に、意地悪くは続けた。
「杏子の告白待ちなんよね?」
「何それ、めっちゃ興味ある!」
内容を知らない2人は、身を乗り出すようにして、話の続きを催促した。
得意げに話す美穂の声を杏子は俯いて聞いていた。