「お前・・・最後のはなんやねん・・・」


「すまん。なんとなく言ってしまったことが、思いのほか、反響が大きくて・・・」


「まぁ、いい。これを利用させてもらうから」


―――よかった・・・機嫌がよくて・・・。でも一体何を企んでるんや??


健一の企みについていけない佳祐は、もう何も聞かないことにした。


「さぁ、教室に戻るぞ!」


「あ、あぁ」


―――なんで教室に戻るのに張り切ってるんや?

でもさ、こいつなんでこんなに楽しそうなんやろう。

岡崎ちゃんがアルバムを見た日からやな。

あんな生き生きした顔見たことなかったし。

よっぽど彼女が好きなんやなぁ。

あいつの頭の中に岡崎ちゃんはどれだけ占めてるんやろう・・・100%やったりして。



「ふふふ・・・」


「佳祐、一人で笑ってキモいぞ!」


「・・・悪かったな」


「またやらしいこと考えてたんやろ!」


「違うし!」


―――しかも『また』とはなんや!



「お前の頭の中、江坂さんのことばっかりっぽいもんな」


笑いながら言う健一に、同じことをそっくりそのまま言ってやりたかった。


「まぁね、美穂のことが好きやからな」


「そんな恥ずかしいことをよく言えるな」



健一は、呆れながら言ったが、佳祐は表情を変えずに「事実やから。と続けた。


二人は、自然と零れる笑顔を堪えて、教室に戻った。