『また健一の噂で揉めてるん?』
『佳祐・・・』
心配そうな顔で美穂が佳祐に駆け寄った。
『・・・杏子ちゃんがかわいそうやと思ったから』
―――あんな噂があれば、友達としては付き合うなって言いたくもなるよね。
でも、真実は違うところにあるのを見抜かないと。
『そう・・・それはありがとう。でもね、あんな噂、信じてるわけ?』
佳祐は、いつになく真面目な表情で、3人の女子に聞いた。
『みんな言ってるから・・・』
俯きながら自信なさ気に言う彼女たちに佳祐は、続けた。
『本人に確認したん?』
首を横に振る彼女たちに対して、顔色一つ変えずに指摘し続けた。
『じゃあ、そんなつまらない噂話なんてやめたら?』
厳しく言い放つ佳祐をたしなめるように美穂が口を開いた。
『佳祐、この子たちも噂を真に受けるのは悪いと思うけどさ、杏子を助けようと思ってしたことなんやからさ・・・』
『美穂・・・』
『じゃあさ・・・』
突然、声を発した人物に佳祐と美穂が驚いた。
騒ぎの中心に近づいて来たのは・・・杉村だった。
―――えっ・・・杉村、何を企んでるんや?
『眞中くんのマイナスになる噂を聞いたら、みんなで訂正するってのはどう?』
―――何を企んでる?
いや、杉村は健一たちのおかげで猿渡先輩と付き合うことができるようになったんだよな。
ということは、味方か。
『それがいいやん!杉村さんいいこと言うやん!じゃあ、よろしくね』
佳祐も爽やかな笑顔を振りまき、教室中に言った。
『あいつさ、中学の時に、20kg痩せたんやって。みんなもダイエット法を教えてもらったら〜?』
『えーっ!20kgも?!すごい!』
ある女の子の声から尊敬の言葉が飛び交った。
『やっぱり、眞中くんかっこいいよね〜!』
におさまってしまった。