「眞中く〜ん。おはよう」
―――なんや?こいつら。俺のこと避けてたのに、またなんやねん。
健一が予鈴ギリギリに教室に入ってくると、また女子が群がってきた。
佳祐が理由を知ってそうだったから、声を掛けた。
「佳祐、これどういうこと?」
佳祐は、健一の状況に気づいた瞬間、
「あっ、俺用事が・・・」
と見え透いた嘘をついて教室を出て行った。追いかけようとしたが、
「眞中くん、行ったらあかんよ〜」
と腕を掴まれて阻止された。
それを振り払い、杏子のところへ向かった。
杏子は、健一と目が合った瞬間目を逸らした。
目を逸らされた瞬間、健一は違和感を感じたが、足を進めた。
「なぁ、英語の和訳見せてくれへん?」
杏子は、健一の顔を見ることもなく、授業の用意をしていた。
「私じゃなくても見せてくれる子がいるんじゃないん?」
昨日の態度とは180度違った態度に健一は困惑を越え苛立っていた。
「はぁ?なに怒ってるんや?!意味わからんし!」
―――俺が何をしたっていうねん。
これ以上頼むのも癪に障るので、健一は自分の席に戻った。
「眞中く〜ん」
「眞中くんって、杏子ちゃんと付き合ってるん?」
健一は、席に戻ると、再び取り囲まれた。
「いや、付き合ってはないけど・・・」
「そうなんやぁ。じゃあ、私たちにもチャンスあるんやぁ」
―――チャンス?そんなもんあるか!俺にはあいつしか考えられへんのやから!
健一はそう思いながらも、さっきの杏子の態度にイライラしていた。
―――なんであいつあんなんに怒ってるねん!俺がなんかしたか?
杏子が怒っている理由の見当もつかずに、イライラしながら授業を受けていた。
―――せっかく、昨日はいい感じやったのに・・・。あーわからん!
とりあえず、健一は昼休みに佳祐に聞いてみようと思った。