次の日から杏子たちは、4人で過ごすことが多くなった。
「眞中くん、早速アピールし始めたね」
美穂が杏子に耳打ちする。
「くくく・・・健一それほんまかよ!」
「あんた嘘ついてるでしょ!」
「嘘じゃないし!」
「眞中くんって・・・ははは・・・こんなに面白い人やったんやぁ・・・あー笑い過ぎてお腹痛い!」
休憩時間には、杏子たちは健一に笑わされていた。
しかし、周りは杏子たちを冷ややかに見ていた。
杏子たちというより、健一の変わりように不信感を抱いていた。
廊下を歩いていても、
『やっぱりかっこつけてただけやん』
『整形してるってほんまらしいよ』
『岡崎さんも騙されてるんじゃない?』
『不倫してるのがばれて、旦那に殺されそうになったらしいで』
『先生にも色目使って、成績上げてもらってるらしいで』
こんな根も葉も無い噂ばかりが耳に入ってくる。
その度に、杏子が健一を見上げるが、『大丈夫やで』と優しい笑顔を返してくれた。
しかし、その笑顔が余計に杏子の胸を締め付ける。
―――大丈夫なわけないやん・・・。
こんな嘘ばっかり並べられて・・・。
どうしたらいいんやろう・・・。
どうやって助けてあげたらいいんやろう・・・。
平然とした顔をしている健一の隣を歩きながら、杏子は頭を悩ましていた。