「整形なんてしてないんやろ?」
「・・・・・・」
「整形するんやったら、この痣を消すでしょ?ガッくん、この痣を気にしてたでしょ?」
健一は、今の状況にドキドキしていた。
これ以上この状況が続くと、理性がもたないと判断した健一は、杏子の腕を掴み、離すと姿勢を正した。
「ごめんね。今まで気付かないで」
健一をしっかりと見つめ、杏子は申し訳なさそうに眉をひそめ、謝った。
「ほんま、失礼やわ。軽くショックやったし」
「だから、ごめんって!」
「あはは、もういいって。お前こそ変わっててびっくりした」
「・・・・・・ねぇ、昔みたいに呼んでくれへんの?ガッくん?」
健一の顔が一瞬のうちに真っ赤になった。
「・・・その呼び方すんなよ!」
「やだ。やめへんよ。ガッくんが呼んでくれへんかったら、ずっと呼ぶし」
「一回しか言えへんぞ?」
健一は、息をふうっと吐き出すと、私を見つめてくれた。
「き、杏子ちゃん」
杏子の顔がパーッと花が咲いたように明るくなった。
「ありがとう、ガッくん」
「お前、またその呼び方するやろ!」
「いいやん。ガッくん」
健一は、「お前な」と呆れ顔をしながらも、ガッくんと呼ぶことを許してくれた。