「ねぇ、黒谷くん・・・これ誰かわかる?」
杏子の声に、佳祐の方を向いていた黒谷も振り返った。そして、杏子の指差す場所を見た。
「えっ?岡崎杏子?」
写真の人物を見た黒谷の手は、止まっていた。
そして、ゆっくりと杏子の顔を見た。その顔は、驚きを隠すことはできていなかった。
「岡崎さ・・・ん?」
「そうよ、私よ」
「じゃあ、知ってたん?」
杏子は、首を横に振った。
「・・・だから、今から謝りに行くんやん!気付いてあげられへんかったから」
杏子は、そう言うと立ち上がり、一度、黒谷を睨み付けてから、
「教えてくれてありがとう」
と笑顔で言うと、その場を立ち去った。
教室を飛び出した杏子は、真っ先にある場所へ向かった。
―――きっと、あそこにいてるはず!
全く根拠もなかったが、きっといるんじゃないかと思い、屋上へ足を運んだ。