教室ではみんな昼食を終え、それぞれに話しているので、騒がしかった。
「黒谷くん?」
美穂の言葉に杏子も顔を上げると、黒谷くんが薄らわらいを浮かべていた。
その気味悪さに、鳥肌が立った。
そして、杏子たちの間に遠慮もなく、ある物を置いた。
「ち、ちょっと、黒谷くん突然何よ!」
話の途中で割って入られたことで、美穂はイライラしていた。
「まぁ、いいから、これを見て」
「はぁ?何言ってるん?」
美穂の言葉も無視して黒谷はアルバムをめくる。
そして、目的のページを広げ、目的の人物を指差し、「これ誰かわかる?」と得意げに言い放った。
黒谷の指の先には・・・。
―――ガッくん・・・。なんで黒谷くんがそんなこと聞くん?
杏子の頭の中はパニック状態だった。
「岩谷健一・・・?これがいったい、誰なんよ!」
美穂が黒谷に突っかかった。
「知りたい?」
座ってる二人を見下ろしている黒谷を杏子と美穂は見上げた。
杏子は何を言われるのか不安でいっぱいだった。
そして美穂は、もったいぶっている黒谷にイライラしていた。
「眞中健一の昔の姿や!」
騒がしい教室中でも通るくらい大きな声で、黒谷が言ったことで、教室中は一瞬にして静まり返り、みんなが一斉にアルバムを見ようと集まって来た。