「ほんんま、お前ら仲いいな」


健一が嬉しそうに笑いながら言った。


―――こんな笑顔見せるの珍しいな。こいつは、ほんまにあんな噂を全く気にしてないんか?事実じゃなくてもあれは凹むぞ?


「そうか?普通やと思うで」


「ふぅん」


「何?俺らに対する嫉妬?岡崎ちゃんとの仲が進展しないからって」


「よく言うよ、お前ら付き合ってるのにキスもしてないくせに」


「それを言うな!俺らには俺らのペースがあるんや!お前みたいに無理矢理できるか!」


「・・・けーすけ?」


どうやら佳祐は、地雷を踏んでしまったらしく、健一の蹴りが入る前に、走って学食まで行った。



「じゃあ、俺、美穂にレモンティ買ってくるから先に行ってて」


昼食を摂って、教室へ戻ろうと学食を出ようとした時、佳祐は美穂に頼まれたレモンティーを買いに自販機に向かおうとした。


「お前パシリ?」


健一からの冷たい視線も交わし、佳祐は笑顔で答えた。


「あいつだったら何でも許せるんや」


そんな恥ずかしいことをしらっと言う佳祐に対して、健一は核心をついてきた。


「ふぅん。下心は?」


「・・・ないよ」


「あるな」


「うるさい!」


―――俺だってさ、下心もあるっちゅーねん!いい感じになる時もあるんやけどな・・・。


美穂との関係がなかなか進展しないことを考えながら歩いていると、廊下を歩いている人物に目がいった。



―――黒谷やん・・・あいつ何を大事そうに持ってるねん。


黒谷がまた何か企んでるのではないかと直感的に感じので、レモンティーを買うと、佳祐は急いで教室に戻ろうとした。